北浜キャピタルパートナーズ、東北大学と共同で油液型液浸サーバーの性能試験を実施

北浜キャピタルパートナーズ株式会社(大阪府大阪市中央区、本社:大阪市、代表取締役社長:前田健晴)は、2025年8月27日、グループ会社である北浜GRF株式会社(代表取締役:平岡佳明、以下KGC)を通じて、東北大学サイバーサイエンスセンター(宮城県仙台市、サイバーサイエンスセンター長:菅沼拓夫)と共同で、油液型液浸サーバーの性能試験を実施すると発表しました。この共同試験は、AIデータセンターの新たな冷却技術として高効率と環境負荷低減に期待が寄せられる油液型液浸サーバーに焦点を合わせ、消費電力やエネルギー効率、騒音の抑制などを詳細に検証する目的で行われます。

背景とプロジェクトの狙い

データセンターにおける電力消費と冷却に関する課題は近年ますます重要になっています。AIを活用した高度な計算処理が普及することで、従来型の空冷サーバーでは対応しきれない発熱や電力消費の問題が表面化しており、効率的な冷却と省電力化は社会全体の課題となっています。

北浜キャピタルパートナーズのグループ企業であるKGCは、再生エネルギーの供給とデータセンター開発を手掛け、その中でSuperMicro/Ablecom製の油液型液浸サーバーと、出光興産が開発した専用のサーバー冷却油を活用した、AIデータセンター用コンテナ型サーバーシステムを開発しました。このシステムは、従来型サーバーと比較して大幅な電力削減と静音化が可能とされています。

油液型液浸サーバーとは?

  • 油液型液浸サーバーとは、電子機器を専用の絶縁性オイルの中に直接浸漬させて冷却する方式です。
  • これにより、高い冷却効率と静音化、さらにはエネルギー消費の大幅な削減が期待されています。
  • 従来の空冷式や水冷式と比較して冷却効率が高く、サーバーの高密度化や省スペース化も図れます。
  • 専用の冷却油(例:出光興産の開発油)を使用することで、長期の運用や機器の保護も実現しています。

共同研究の詳細

今回の共同研究にあたっては、サイバーサイエンスセンターが持つ計算資源および先端的な研究ノウハウと、KGCのデータセンターソリューション開発力が融合され、電力需要削減と騒音低減効果などの定量的な実証が行われます。

  • 消費電力のリアルタイム測定:液浸冷却が実際にどれだけ消費電力を抑制できるかを、定量的なデータで評価。
  • 騒音レベルの評価:従来サーバーと新システムとの騒音の比較測定を実施し、静かで快適な運用環境の証明を目指します。
  • さまざまな運用シナリオでの評価:AI処理を中心とした高負荷運用から通常運用まで、実用的な環境で広範な性能試験を実施。

これらのデータ収集・解析を通じて、今後のAIデータセンターやクラウドインフラのグリーン化・省電力化に向けた最先端の技術開発と社会実装につなげていく考えです。

北浜キャピタルパートナーズグループの取り組み

北浜キャピタルパートナーズ株式会社は、51%出資する北浜GRF株式会社のリーダーシップのもと、AI社会の急成長に伴うデータ処理需要・エネルギーコスト増加に対応する先進的なインフラ提供に取り組んでいます。台湾の液浸冷却サーバー製造会社との提携や、出光興産との技術協力を通じて、日本国内外での新しいデータセンター構築や運用の実績を積み上げてきました。

今回の東北大学との共同研究は、学術研究機関との連携強化を通して、理論と実践の両面から持続可能なDX社会の基盤作りを加速するものです。産学連携によるイノベーション推進と、他社にはない独自技術による差別化で、今後さらなる成長が期待されています。

東北大学サイバーサイエンスセンターの社会的役割

東北大学サイバーサイエンスセンターは、日本有数のスーパーコンピュータ施設を有し、防災・エネルギー・生産基盤の強靱化、気候変動対策など幅広い社会課題解決プロジェクトに長年取り組んできました。今回の共同研究でも、極めて高い情報処理要求とエネルギー効率、信頼性が求められる最先端研究の現場からフィードバックを得ながら、産業界に向けた新技術の検証・普及に前向きな姿勢です。

国内データセンター市場の環境課題と今後の展望

AIデータセンターやクラウド基盤の拡大に伴い、日本国内でもデータセンターのエネルギー需要と環境影響の増大が強く懸念されています。政府による脱炭素化目標やSDGs推進のなか、小規模から大規模までの最新冷却技術導入は必須であり、油液型液浸サーバーの商用化や社会実装は時代の要請とも言えるでしょう。

今回の共同試験による効果検証を通して、業界全体での技術標準化やサプライチェーンの最適化が進めば、日本発の先端データセンターソリューションが世界市場においても存在感を高めていくことが期待されています。特に、再生可能エネルギーとの併用によるさらなる環境負荷低減や、地方創生・災害時の強靱なインフラ構築にも貢献するでしょう。

株式市場での反応と今後の期待

今回の発表を受け、北浜キャピタルパートナーズの株価は後場(午後の取引)で急騰するなど、市場でも本取り組みへの大きな期待感が示されました。AI社会の基盤となるデータインフラ分野で持続可能性を担保する大胆な技術開発と産学連携の成果は、多くの投資家や産業界・行政にも波及効果を与えています。

今後も北浜キャピタルパートナーズグループと東北大学サイバーサイエンスセンターの共同研究動向や、油液型液浸サーバーの技術進展、業界全体の変革などに注目が集まるでしょう。

まとめ

  • 北浜キャピタルパートナーズ株式会社が東北大学と共同で油液型液浸サーバーの性能試験を開始。
  • AIデータセンターの冷却効率・省エネ・静音化につながる新技術。
  • 産学連携で脱炭素社会や持続可能な情報社会に向けた基盤技術開発を加速。
  • 株式市場でも高い期待感が示され、今後の展開に大きな注目。

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