【愛知県豊明市】市長が“スマホ1日2時間”条例案を提出 ~市民への呼びかけとその反響~

2025年8月25日愛知県豊明市で、市民の余暇時間におけるスマートフォン等の利用時間を1日2時間以内とすることを目安とした新たな条例案が市議会に提出されました。本記事では、本条例案の詳細や市民、各方面の反応、市長の意図など、多角的にわかりやすく解説します。

条例案の概要

  • 正式名称:豊明市スマートフォン等の適正使用の推進に関する条例(案)
  • 内容:余暇(仕事や学校、家事、学習などを除く自由な時間)におけるスマホ、パソコン、ゲーム機の利用を「1日2時間以内」を目安とする
  • その他の規定:小学生以下は午後9時まで、中学生以上は午後10時以降の利用を控えるよう促す
  • 施行予定日:議会で可決後、10月1日施行を想定
  • 罰則:なし(違反した場合の処罰やペナルティはありません)
  • 目的:スマホ等の使用の“適正”なコントロールを市民へ呼びかけ、健全な生活習慣の促進につなげたい

背景と市の狙い

現代の社会では、スマホやデジタル機器の長時間利用による健康・生活面の問題が指摘されています。豊明市は、こうした問題を解決する一環として条例案を作成し、市民に「使い方の見直し」を促したいとの考えを示しています。
条例では、あくまで“目安”であり、実際に各家庭や個人の状況に応じて無理のない範囲で見直してほしいという姿勢が強調されました。

市長のコメントと意図

条例案について小浮正典市長は、「2時間」という数字に関して、「根拠となる詳細なデータは無いが、食事や睡眠、直接のコミュニケーションの時間が減っていないかを市民が意識するきっかけにしてほしい」という思いを語っています。この条例は法的な強制力や罰則はもたせず、「理念条例」としての役割を重視しています。

市民や議会、全国からの反響

  • 賛成意見
    子どもたちの生活リズムや健康への配慮として歓迎する声が一部からあがっています。「子どもが夜遅くまでゲームやSNSをして困っていたので、目安が示されるのはありがたい」といった保護者の声も見受けられます。
  • 反対・懐疑的な意見
    「余計なお世話」「現実的でない」といった否定的な意見が多く、ネット上では「スマホだけをやり玉に挙げる根拠が曖昧」「市の話題作りではないか」といった指摘も続出しています。
    日常的に2時間以上利用している市民が多いため、実効性を疑問視する声も目立ちます。シニア世代でも「寝る際にYouTubeを流しっぱなしにしていたら一晩で2時間どころの話ではない」とインタビューで語る例がありました。
  • 他自治体や専門家などからの声
    罰則のない「理念条例」としては、これまでにも啓発効果や社会的議論を呼ぶ目的で施行された例があることから、一定の意味があるとする一方で、個人の生活に過度に介入することへの慎重論もあります。

条例案の根拠やデータに関する指摘

今回の「2時間以内」という基準については、総務省が公開するモバイル機器の平均利用時間データ(10代から40代で休日は2時間を超える傾向)を参考にしたものの、「この数字の科学的・医学的根拠はない」というのが市長の正直な見解です。データに基づく明確な決定ではなく、「話題を喚起し、市民の家庭内での対話のきっかけにしたい」という意図が前面に出ています。

条例案審議の流れと今後

  • 2025年8月25日から始まる定例市議会で審議が始まります。
  • 市議会で可決されれば、10月1日施行の方針ですが、否決されれば条例は不成立となります。
  • ネットや市内での議論も活発化しており、今後の動向に注目が集まっています。

なぜ今「スマホ利用抑制」なのか?

スマートフォンは日常生活に欠かせない一方、過度な利用による依存症や生活習慣病人間関係や学力への影響運動不足など多くの問題が報告されています。豊明市も「スマホが本来の生活のバランスを崩していないか」という問題意識から今回の条例案に至りました。一方的な抑制を目指すのではなく、「家庭や本人が普段の生活を振り返る機会をつくる」ことが重視されています。

市民のリアルな声

  • 「毎日3時間は使っている。2時間はむずかしい。」
  • 「親子でルールを決めるきっかけとしては良い」
  • 「高齢者も夜間はスマートフォンをつけっぱなし。自分も意外と長く使っていて反省」
  • 「自由な時間の制限を条例で決める意味があるのか…」

議会の展望と市の説明責任

条例案に対し、議会側からは「市民生活への影響の大きさ」「啓発目的にとどまるべきか」「目安とするなら実効性の担保は?」といった疑問が投げかけられています。
豊明市も公式ホームページ等で「条例案はあくまで“案”であり事実誤認に注意。最終決定は議会で下される」と説明を発信し、誤解の解消と丁寧な対話姿勢を示しています。

まとめ:条例案の意義と今後の課題

今回の豊明市のスマートフォン利用時間抑制条例案は、全国初の試みとして大きな話題を呼んでいます。個人の自由と健康のバランス市の役割や啓発の限界など、現代的な社会問題をあぶり出す契機ともなりました。可決・不成立いずれの結果となるにせよ、今年の「豊明発デジタルライフ議論」は、今後全国各地にも影響を与えそうです。
市民一人ひとりが、スマートフォンとの賢い付き合い方を今一度見直すきっかけとなることが期待されています。

参考元