吉田修一原作『パレード』舞台化、若者たちのリアルなルームシェア生活を描く
2025年10月24日から11月1日まで、東京・シアターHにて、吉田修一の名作小説『パレード』を原作とした舞台が上演されます。脚本・演出を手掛けるのは平塚直隆氏、主演には馬場良馬さんをはじめ、岩田陽葵さん、伊藤理々杏さん(乃木坂46)など、注目のキャストが名を連ねています。
吉田修一の『パレード』とは
吉田修一は、現代日本文学を代表する作家の一人です。「国宝」などの話題作でも知られていますが、『パレード』は2002年に初版が刊行され、発売直後から多くの支持を集めました。第15回山本周五郎賞を受賞し、高い評価を得た本作は、さまざまなメディアミックスにより世代を越えて読み継がれています。
物語の舞台は、東京の2LDKのマンション。そこに暮らす若者たち――伊原直輝、相馬美希、大垣内琴美、さらには男娼のサトルなど、計5名の男女が織りなすルームシェア生活が描かれます。表面的には仲の良い友人同士に見える彼らですが、それぞれが心の奥底に不安や悩み、孤独を秘めています。優しさと怠惰が混じり合った日々の中で、“本当の自分”を装いながら必死に前に進もうとする若者たち。その微妙な心理の揺れ動きと、共同生活の中で否応なく生じる“ひずみ”が、物語のテーマです。
舞台化の意図と脚本・演出
今回の舞台化では、脚本・演出を平塚直隆氏が担当します。原作小説特有の繊細な人間描写を、舞台という“生”の表現を通してよりリアルに、より強く観客に伝えることが目標です。
演出上の工夫としては、(1)若者たちの会話の自然さに焦点を当てること、(2)マンションの部屋という閉鎖的な空間を活かし、心理劇としての緊迫感を高めること、(3)観客に「自分ならどうするか?」という問いかけを残すことなどが挙げられるでしょう。
キャストと作品の魅力
- 伊原直輝役:馬場良馬 — ルームシェアをまとめる存在でありながら、内面には葛藤を抱える難役に挑みます。
- 相馬美希役:岩田陽葵 — 明るく見えるが、実は繊細な心の持ち主。
- 大垣内琴美役:伊藤理々杏(乃木坂46) — 現代的な若者のリアルを体現するキャラクターです。
このほかにも個性的なキャストが出演し、舞台ならではの熱量で物語を紡ぎます。
『パレード』が描く“若者のリアル”とは?
『パレード』の舞台は単なるルームシェア物語ではありません。物語の根底にあるのは、“自分自身も理解できない自分”を他者と共に生きる困難さ。そして、表面的な優しさや無関心が交差する現代社会の孤独とつながりです。
現代社会では、SNSやネットを通じて簡単に人と繋がれる一方で、深い関係性を築くことが難しくなっています。『パレード』に登場する若者たちは、それぞれ何かしらの孤独や心の闇を抱えており、“うわべだけの付き合い”に安堵しながらも、どこかで本当の自分を知ってほしいと願っています。
この作品が観客に問いかけるのは、「共同生活とは本来どうあるべきか」「自分らしさとは何か」「現代の若者が直面する孤独や不安をどう乗り越えればいいのか」といった普遍的なテーマです。
舞台ならではの見どころ
- 限られた空間で展開する心理劇。舞台ならではの臨場感が観客を物語の中に引き込みます。
- 若者たちのリアルな会話や沈黙、距離感の変化を丁寧に描写。
- 舞台美術や照明による空間演出で、共同生活の“閉鎖性”と“開放感”のコントラストを表現。
- キャストの身体表現と声の力を最大限に活かし、物語の深部を観客と共有します。
また、原作ファンはもちろん、舞台初体験の方や、現代を生きる若者世代の心に強く響く内容となっています。
出演者・スタッフの想い
- 馬場良馬さんは「自分自身も共感できる部分が多い。役を通して、誰もが感じる孤独や葛藤を丁寧に表現したい」とコメント。
- 岩田陽葵さんも「現代の若者たちの“揺れ動く心”を舞台というリアルな空間で体験してほしい」と語っています。
- 伊藤理々杏さんは「人と人が共に生きる難しさを表現したい」と話し、乃木坂46ファンにとっても注目舞台となっています。
公演概要とチケット情報
- 公演期間:2025年10月24日(金)〜11月1日(土)
- 劇場:シアターH(東京都)
- 脚本・演出:平塚直隆
- 原作:吉田修一『パレード』(幻冬舎文庫)
- キャスト:馬場良馬、岩田陽葵、伊藤理々杏(乃木坂46)ほか
- 公式サイト:parade-stage.com(詳細・最新情報や問い合わせはこちら)
- 主催:舞台『パレード』製作委員会
チケット申し込みは以下のスケジュールで実施されます。
- 先行申込期間:2025年9月1日(月)12:00 ~ 9月7日(日)23:59
- 一般販売開始:2025年9月13日(土)10:00~
『パレード』が現代に問いかけるもの
この舞台は、若者のリアルな心の揺れを繊細に描くと同時に、現代社会に広がる“孤独”と“つながり”の実態に切り込んでいます。今を生きる人すべてが直面している「他者との距離」「自分への不安」にそっと寄り添い、観る者に深い問いと感動を与えることでしょう。
社会の中でどこまで本音を隠し、どこまで他者と向き合うか。ルームシェアや共同生活が増えている現代だからこそ、『パレード』は今を生きる私たちにとって身近なテーマです。「自分らしく生きる勇気」「自分を認める優しさ」を舞台に重ねて感じてみてください。
まとめ
- 吉田修一原作の『パレード』が新たに舞台化。
- 若者たちのルームシェア生活と、その中で起きる心理ドラマをリアルに描写。
- 10月24日~11月1日、東京・シアターHで上演。
- 馬場良馬、岩田陽葵、伊藤理々杏といった実力派キャストも話題。
- 現代社会に生きる全ての人に「本当の自分でいること」の意味を問いかける。
ぜひ、舞台『パレード』で現代の若者たちの“リアル”に触れてみてください。