テンセント、AIサービスを日本と東南アジアで大展開 ― メタ社のAI体制にも変化
2025年8月21日発表――中国の大手テクノロジー企業、テンセント(Tencent)は、日本および東南アジア市場に対してAIサービスの提供拡大を正式に発表しました。経済活動や日常生活のあらゆる場面でAI技術の導入が加速するなか、テンセントのこの新たな動きが多くの注目を集めています。同時に、アメリカのメタ社(Meta)も自社のAI開発体制を再び大きく見直す方針を明らかにしました。本記事では、両社の動向を中心に、AI業界が世界でどのように進化しているのかをやさしい表現で詳しく解説します。
テンセントが推進する日本と東南アジア向けAIサービス
- AIインフラ「腾讯云智算」など製品スイートのアップグレード
- 効率的な大規模AIモデル「Tencent Hunyuan Turbo」
- 日本企業との協業や多言語対応AIの普及
テンセントは2025年7月、AI基盤インフラ「腾讯云智算」や複数の高度なAI関連サービス群のアップグレードを発表しました。これには、クラウドをベースにした専用コンピューティング、ストレージ、ネットワークソリューションなどが含まれ、企業のAI活用とデジタル化目標を強力にサポートします。
特に注目すべきは、MoE(Mixture of Experts)アーキテクチャを採用したAIモデルサービス「Tencent Hunyuan Turbo(腾讯混元Turbo)」です。このモデルはAIトレーニングの効率を2倍に、推論コストを50%削減し、テンセントプログラマーの生産性を40%向上させています。また、AIコーディング・アシスタント、インテリジェント録音、AI翻訳機能などが既に1500万人以上のユーザーに利用されています。
日本市場への具体的なアプローチと事例
- ファッション業界へのAI活用(forGIFTとの協業)
- ゲーム業界、エンターテイメント、バックエンドのデジタル化支援
- 独立系企業から大手まで幅広い企業を対象
テンセントクラウドは、東京拠点の株式会社forGIFTと連携し、AIを活用したバーチャルフィッティングソリューションを日本のファッション業界に導入しています。これにより、制作コスト約20%の削減、消費者向けシステムとの高い互換性、わずか10秒の着せ替え処理など、スピードと効率の大幅向上が実現。また、オンラインストアおよびショッピングカートとのAPI連携によるシームレスな体験を提供します。
この他にも、WeChatミニプログラムを使ったエコシステム構築や、ゲーム、金融、音声・映像配信分野で最先端のAI・クラウド技術を展開し、日本におけるテンセントのプレゼンスが一段と強まっています。
テンセントクラウドジャパン2025 ― イベントから見える今後の展望
- 大阪リージョン新設で国内インフラ拡充
- 業界との連携強化でビジネス変革
- デジタル成長・DX支援の新たなステージ
2025年4月には「Tencent Cloud Day Japan 2025」が開催され、日本のデジタル成長に向けたテンセントの取り組みや、大阪リージョンの新設計画も発表されました。約230名の業界リーダーやパートナー企業が集まり、ゲーム、音声・映像、金融、セキュリティなど、各分野の具体的な事例紹介やパネルディスカッションが行われました。
特に、AI基盤技術とクラウドインフラの融合がもたらす競争力強化、WeChatミニプログラムを使った成長戦略支援、中国市場進出のためのノウハウ共有など、テンセントは単なるIT企業ではなく、あらゆる業界の変革をリードするパートナーとしての存在感を高めています。
MetaもAI開発体制を再編 ― 世界大手のAI競争が加速
同時期、Meta(旧Facebook)のマーク・ザッカーバーグCEOは、自社のAI開発体制を再び大きく見直す方向性を発表しました。これまでにもAI分野への投資と組織変更を繰り返してきたMetaですが、OpenAIやGoogleなど世界的プレイヤーとの激しい競争の中、自社の強みを最大限発揮しうる体制づくりが急がれています。
Metaの動きは米国発のAIイノベーションに新たな波をもたらしつつあり、テンセントをはじめアジア勢とアメリカのIT巨大企業のAI競争はさらに加速しています。
今後のAI潮流 ― 生活やビジネスへの影響は?
- DX・業務効率化・新産業創出が本格化
- AIプラットフォームやAPIの開放で多様なサービス普及
- 消費者向け体験の革新と産業競争力アップ
最新AI技術の導入・拡大は、消費者の利便性やビジネスの生産性、さらには新しい価値創造の可能性を飛躍的に高めています。テンセントは2025年以降も日本と東南アジア、さらにはグローバル規模でAI・クラウドサービスの領域拡大とパートナーシップ強化を目指しており、今後もDX(デジタルトランスフォーメーション)、業務効率化、新サービス創出のけん引役を果たします。
一方で、大手各社のAI開発競争は今後さらに激化が予想され、私たちの仕事や暮らしを根本から変えるような革新が続く見込みです。AIが描く未来を日々のニュースからしっかりと見極めていきましょう。