ナスダック続落 ― ハイテク株売りが加速、AIブームの持続性に疑問も

ナスダックが2日連続の大幅下落、IT・ハイテク株中心に売りが殺到

2025年8月19日から20日にかけて、米国株式市場でナスダック総合指数ナスダック100指数の下落が目立っています。ナスダック総合指数は314.82ポイント安(-1.5%)の21,314.95ポイント、大型ハイテク株主体のナスダック100指数も前日比328.99ポイント安(-1.39%)の23,384.77ポイントで取引を終え、市場の不安定さが鮮明となりました。

米国株 全体の動向:ダウは反発もナスダックは連日の下落

  • ダウ平均株価は一時史上最高値を更新する場面もありましたが、最終的には小幅高(+10.45ドル、44,922.27ドル)で取引を終えました。
  • ナスダック総合指数ナスダック100指数はともに大幅安となり、2日続落。ハイテク比率の高さが、ここ数日の下げを加速させています。
  • また、S&P500種株価指数も3日続落し、米国株式市場全体で見れば利益確定や高値警戒感が強く、投資家心理の調整局面に入っていることが伺えます。

下落の要因 ― AIブームに対する期待感の調整と利益確定

今回のナスダック急落の背景には、AI(人工知能)ブームの持続性に対する懸念や、ここまで続いてきたハイテク株主導の上昇に対して「過熱感」を指摘する意見が出ていることがあります。特にIT・ハイテク株を中心に「AI関連株は力強い上昇の後、調整局面に入った」というアナリストの見解が複数報じられています。

実際、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の報告書では、企業の95%が生成AIへの投資でまだ十分なリターンを得ていないというデータが紹介され、将来的な業績寄与に対して投資家が慎重になっているとも指摘されています。

具体的な影響銘柄とハイテク市場のムード

  • 今回の下落を象徴する銘柄として、半導体メーカーAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)が-1.92%安、ブロードコムが-1.89%安、パランティアは-3.25%安と、AI関連や半導体セクターに軒並み売りが波及しています。
  • これらの企業はここ1年でAI需要やクラウド事業の拡大期待で大きく株価を伸ばしてきたため、一度の調整でも市場にはインパクトがあります。

金利・景気、外部環境も複雑に作用

  • 米10年債利回りは4.30%台に低下する場面もあり、金利低下=株価支援とは単純にならず、好材料悪材料が複雑に交錯しています。
  • 米7月住宅着工が前月比で増加し、米経済の底堅さを示す動きもあったものの、ハイテク株の利益確定売りのインパクトがそれを上回っています。
  • 為替市場では1ドル=147円台半ばで推移し、外為市場の大きな動揺は確認されていません。

「必要な調整」か、それとも動揺の始まりか?

一部の市場関係者やアナリストは、「AI関連株の調整は過熱感を冷ます上で必要なもの」と指摘し、過度な悲観には与していません。大手ハイテク銘柄の下落が目立ったことで、ここにきて利益確定売りが波及しやすい地合いになっているとみられています。

一方、「AIバブル」とも言われた株価の急騰を背景に、今後はAI市場の実需や企業業績が本当に追いつくのか、改めて注目される局面となりました。

ダウ平均・S&P500はまだ堅調、しかし先物も下落基調

ダウ平均やS&P500は比較的底堅い推移となりましたが、市場全体が下押し圧力にさらされている中、先物市場ではナスダック100先物が続落しており、ハイテク・IT銘柄の値動きには引き続き注意が必要です。

  • ナスダック100先物(9月限)は東京時間10:18時点で23,416.25(-0.23%)と引き続き値を下げています。
  • 主要銘柄の値動きだけでなく、セクター全体の調整リスクにも目を配る必要があります。

投資家・市場参加者への影響と今後の見通し

実際に米国市場に投資している個人投資家や日本の機関投資家にとっても、ナスダックやハイテク株の急落はリスク認識を高める要因となっています。AI・半導体銘柄を中心とするポートフォリオへのリバランスや分散投資の必要性が改めて意識されることになりそうです。

また、今週はFRB(米連邦準備制度理事会)の政策動向や金融当局の発言、経済指標発表などが控えており、相場の不安定さがしばらく続く可能性もあります。具体的な下げ止まりのサインや、新たな成長分野の見極めが市場全体のテーマとなるでしょう。

まとめ:急落するナスダック、AIとハイテク市場の「熱気」から「冷静」への転換期

  • ナスダック指数はここ2日で急落、ハイテク・AIブームの「揺り戻し」となりました。
  • 生成AIへの期待や投資が本格的な業績寄与に発展するかどうか、今後も注目が集まります。
  • 今回の急落が「単なる調整」にとどまるのか、「トレンドの変化」を示唆するものなのか、米国市場のみならず日本市場にも大きな影響を与える重要な局面です。
  • 市場参加者は引き続き冷静な判断が求められ、市場全体の資金動向の変化や個別銘柄の動向に細かく注目していく必要があります。

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