TICAD9横浜開幕 ― ウガンダを含むアフリカとの連携強化と都市の目覚め
はじめに - 今なぜ「ウガンダ」とアフリカ開発会議(TICAD)か?
2025年8月20日、世界から注目を集める「第9回アフリカ開発会議(TICAD9)」が横浜で開幕しました。この会議は、アフリカと日本、そして国際社会が一体となり、未来への持続可能な発展を目指して意見を交わす舞台です。ウガンダなど多くのアフリカ諸国の代表団が参加しており、経済成長、雇用、都市の発展といった大きな課題を巡り、熱心な議論が続いています。
TICADとは何か? - 歴史と意義
TICAD(Tokyo International Conference on African Development)は、「日本政府」と「国際連合」、「アフリカ連合委員会(AUC)」などが共催するアフリカ最大級の国際会議です。初開催は1993年。当時から約3年ごとに開催され、近年では3回ごとに日本とアフリカ各地で交互に行われています。2022年にはチュニジアで第8回が開催され、日本にもたらされた影響は大きく、今やTICADは「アフリカの都市や社会の成長を後押しする重要な国際対話の場」と位置付けられています。
ウガンダを始めとするアフリカ諸国の参加と主要テーマ
- アフリカ54か国のうちほぼ全てが代表団を派遣
- ウガンダ代表団も都市開発、安全保障、技術協力をめぐり議論に参加
- 日・アフリカの若者による実務者ネットワーク構築も促進
- 各国首脳との首脳会談や多国間協議が積極的に開かれている
「アフリカの都市の目覚め」テーマ別イベント
会議3日目に開かれたテーマ別イベント「アフリカの都市の目覚め 経済成長と雇用の触媒として」は、特にアフリカの若い都市部人口が増える中、雇用創出と持続可能な都市づくりをどのように実現するかという点で活発な意見交換が行われました。ウガンダの首都カンパラでは、ITイノベーションやインフラ整備が進みつつあり、「都市の活力」が現地経済に波及しているという事例も共有されました。
- 都市化が進むウガンダなどで若者の雇用と起業家精神が重視されている
- 日本の都市インフラ技術を応用した現地課題解決策の提案
- 女性や若者への職業教育プロジェクトも紹介
石破首相のスピーチと「習いに来た」発言 ― 野口英世が象徴する日アフリカ交流
本会議の開会式で石破首相は、近代日本医学の礎を築いた野口英世を紹介しました。野口英世はかつてアフリカ各国で黄熱病の研究に尽力した人物です。「私も『習いに来た』という初心で本会議に臨んでいる」と語り、互いに学び合い、支え合う姿勢の大切さを強調しました。実際にウガンダにおいても日本の医療協力プロジェクトが進んでおり、両国の信頼関係が一層深まっていることが伝わる内容でした。
- 野口英世のアフリカでの足跡や精神が現代の技術・支援交流の基盤
- 「謙虚な学び」の姿勢が多文化協力には不可欠と再認識
- 健康・医療分野の連携強化、感染症対策への共同宣言が採択
TICAD9で注目されるウガンダの現在地
ウガンダはアフリカ東部の中心地で急成長を続ける国です。豊かな自然と多様な民族文化を背景に、農業、IT産業、観光、エネルギー政策など多岐にわたる成長戦略を実施しています。TICAD9では、ウガンダ代表団が次のようなテーマで発言しました。
- スマート農業と食料安定化へ向けた技術協力の促進
- 再生可能エネルギー導入支援(日本との共同研究・投資)
- 初等・中等教育の拡充と職業訓練の強化
- 都市インフラと水・衛生システム改善への期待
- 観光産業におけるSDGs視点の取組み(エコツーリズムの推進)
日本の本気度―資金・技術・人材でウガンダとアフリカに寄り添う
TICAD7以降、日本は「ABEイニシアチブ」など技術者や産業人材の育成支援を掲げています。今回のTICAD9でも資金協力の強化、技術移転、人的交流が最大の柱として打ち出されました。
ウガンダとの間でも、農業機械の供与、IT起業家支援、日本式科学教育プログラム推進など数多くの具体的なプロジェクトが提案されました。
- 3年間で200億ドル超の民間投資をアフリカ全体に促進
- 日・ウガンダ間の大学連携やインターンシップ制度拡充
- 地元行政・住民を巻き込んだガバナンス強化支援
若者の力で未来を切り開く―「Youth TICAD」や市民社会による参画
今回の会議では「Youth TICAD」など若者と市民社会の参画が大きく打ち出されました。ウガンダや他アフリカ諸国からも多くの若者が参加し、自分たちの課題や提案を直接リーダー達に届ける姿が広がりました。
- 実際に政策提言を行うユースネットワークの創設
- NGO・NPO・現地コミュニティの声が会議運営に反映
- 社会変革の「当事者意識」を育むプラットフォーム
ウガンダとTICAD―今後の展望
このようにTICADは、ウガンダを含むアフリカと日本が共に歩む「未来共創」の場として、年々深い意義を持つようになっています。現地実務者や若い世代が中心となり、新たなパートナーシップ構築や協力プロジェクトが次々と生まれています。環境、技術、経済、教育など現場での変化が着実に姿を見せ始めています。
さいごに ― 協働の精神で「共に学び、共に進む」
「習いに来た」という石破首相の言葉に象徴される通り、日本とアフリカの関係は、支援や援助にとどまらず、「対等な学び合い・共創のパートナー」へと進化しています。ウガンダでの日本の技術や経験活用、若者や女性、民間企業・自治体による多層的なつながりが、これからの国際社会のモデルケースとなることでしょう。TICAD9の成果がウガンダ、そしてアフリカ諸国の持続可能な発展へと結実することが期待されます。