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満島ひかり×今日マチ子――アニメ『cocoon』が伝える、少女たちの戦争と想像力

2025年、戦後80年を迎える日本で、今改めて“戦争”と“平和”について世代を超えて考えるきっかけとなる作品が誕生しました。それが、今日マチ子原作の漫画『cocoon』を原作とした、NHKアニメーション『cocoon 〜ある夏の少女たちより〜』です。
本作の放送に寄せて、原作者の今日マチ子さんと、主要キャストであり俳優の満島ひかりさんによる特別対談が行われ、アニメが描き出す「いま」を生きる少女たちの戦争と想像力について語られました。

アニメ『cocoon 〜ある夏の少女たちより〜』放送情報と作品概要

  • 放送日:2025年8月25日(月)23:45〜(NHK総合)
  • 制作会社:ササユリ
  • 原作:今日マチ子『cocoon』(2010年発刊/秋田書店)
  • 監督:伊奈透光
  • 音楽:牛尾憲輔
  • アニメーションプロデューサー:舘野仁美
  • キャスト:満島ひかり(マユ役)、伊藤万理華(サン役) ほか

本作は、第二次世界大戦末期の沖縄戦に動員された「ひめゆり学徒隊」に着想を得て描かれた物語です。
物語の舞台は南の島。そこに暮らす少女たちの穏やかだった日常が突然戦場と化し、少女たちは看護隊として過酷な現場に送り込まれていきます。主人公のマユ(満島ひかり)とその親友・サン(伊藤万理華)が、傷病兵の看護に従事しつつ、想像力を糧に生き抜こうとする姿を描きます。

戦後80年を見据えたアニメ化の意味

アニメ『cocoon』が企画されたのは、まさに2025年という「戦後80年」の節目でした。多くの人にとって戦争は過去の出来事になりつつあります。しかし、作者の今日マチ子さんは、
「少女たちがどのような『想像』の力を持って戦争の渦中を生き延びたのか――それを今の時代の視点で伝えたい」という想いで原作を執筆。
時代や場所が違っても、少女たちの心の葛藤や“生き抜こうとする力”は今の私たちにも通じるものがあります。

満島ひかりが語る“マユ”への向き合い方

対談の中で強く印象に残るのは、満島ひかりさんが“マユ”という少女にどれほど真剣に向き合ったかというエピソードです。
彼女は、「どんな時代であっても人が人を思う気持ち、想像力で心をつなぐことの大切さ」を、マユの成長や苦悩に重ねて表現したと語りました。
声優として、また俳優としてキャリアを重ねてきた満島ひかりさんは、「少女”マユ”の純粋さや、戦争に翻弄されながらも仲間を想う優しさを全身で受け止めて演じた」といいます。

漫画『cocoon』からアニメーションへ――制作の舞台裏

原作漫画『cocoon』は、2010年に刊行されたのち、戦争文学として根強い人気を誇ってきました。その繊細な心情描写と淡い水彩画のようなビジュアルをアニメ化するにあたり、スタッフ陣には若いクリエイターからベテランまでが集結。
監督の伊奈透光さんが「少女たちが持っている夢と恐怖、その狭間で揺れる心をどうアニメにすくいあげるか」に悩み抜き、原作に敬意を払って丁寧に映像化したと語っています。

作品世界に息づく“想像力”の描写

『cocoon』の物語における最も大きなテーマのひとつが“想像力”です。戦火のただ中で少女たちは互いに物語を語り合い、子供らしい遊びや夢、物語を心の支えとします。
この“想像力”こそが、厳しい現実から心を守り、絶望の中でも希望のひと筋を見出す力となります。
今日マチ子さんは、対談で「想像することは未来を生きる力」であり、「静かな画面のなかに、少女たちの心の声や希望を丁寧に描きたかった」と語っています。

視聴者・新たな世代へのメッセージ

アニメ『cocoon』の制作が「戦後80年」という時期と重なったことには大きな意味があります。世代を超え、もう一度“戦争とは何か”“私たちに平和とはなにか”を考え直す機会です。
満島ひかりさんは、「この物語が、今の若い世代にとって“遠い昔の話”ではなく、“自分ごと”として身近に感じてもらえたら嬉しい」とコメントしています。

2025年 夏。上野公園が発信する反戦のメッセージ

また、放送と時を同じくして、上野公園では「2025年の反戦のメッセージ」というイベントが開催されました。
作品が訴える「想像力」と「平和」への願いは、アートや文化イベントを通しても広まりを見せています。
戦争を「知る」ことだけでなく、現代を生きる感性で「考える」こと、その一歩を、この作品とともに踏み出す機会が全国各地、特に上野公園でも生まれています。

特別対談で語られた心の記憶

  • 今日マチ子さんは「この物語を書くことで“戦争は過去ではなく、誰かが生きた現在である”ことを表現したかった」と振り返ります。
  • 満島ひかりさんは「たとえどんなに苦しい状況の中にいても、人は想像力で互いの痛みを分かち合える」と声を弾ませました。
  • 対談の現場には原作・アニメ・出演三者の情熱が響き合い、視聴者への温かなメッセージが込められていました。

『cocoon』が教えてくれる、「生きる力」とは

アニメ『cocoon』は、少女たちの目線を通して“戦争”を描くと同時に、「人が人らしくあるために」「見えない明日を想像して生きる力」を訴えかけてきます。
その訴えは今の不安定な世界状況にあってこそ、多くの共感を生み出しています。
歴史的事実を学ぶだけでなく、「かつてその時代を生きた誰かの痛みや勇気を想像する」。この想像力こそ、戦争を繰り返さないために私たち一人ひとりに必要なのだと、アニメと対談を通じて力強く伝えられました。

これからのアニメ・表現作品が担うべきもの

『cocoon』のアニメ化は原作の持つ普遍的なテーマを、現代の多様なメディアで新たな命を吹き込む試みとなっています。マンガ、アニメ、トークイベント、そして公開の場での議論…。戦後80年のこの日本で、戦争体験の“語り継ぎ”を今の言葉と想像力でアップデートし、次世代にどう橋渡しするかが問われています。

まとめ:満島ひかりが担った「声」と「想い」

本作品は、初放送時から多くの反響を呼び、特に主役・マユを演じた満島ひかりさんへの賞賛が相次ぎました。彼女の表現が、この時代、この場所では生きられなかった多くの少女たちに「もう一度、心から語りかける声」を与えています。

新たな戦後80年の節目に、私たちはどんな社会をこれから紡いでいくのか。アニメ『cocoon』とともに、考える時間を持てるこの夏のひとときこそが、「想像力」を未来へと確かにつなぐ力となるでしょう。

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