ゼンショーホールディングス、2026年3月期第1四半期決算:すき家異物混入問題の影響と今後への展望

はじめに

ゼンショーホールディングスは、すき家・なか卯など飲食チェーンを展開する国内最大級の外食グループです。このグループは毎年堅調な業績を維持してきましたが、2025年4~6月期決算では大きな転機を迎えています。本記事では、今回の決算内容の詳細と背景、企業が講じている対策、そして今後の展望について、わかりやすく詳しくご紹介します。

決算の概要:9%減益・純利益は過去最大級の減少

  • 売上高:2,904億2,100万円(前年同期比8.9%増)
  • 営業利益:157億5,400万円(前年同期比8.7%減)
  • 経常利益:155億7,000万円(前年同期比8.5%減)
  • 純利益(親会社帰属):80億2,000万円(前年同期比25.7%減)

今期は異物混入問題に直面し、大幅な減益・純利益の落ち込みとなりました。売上高はしっかりと伸びているものの、利益面では厳しい状況です。営業利益率も前年同期の6.5%から5.4%へ悪化しています。

「すき家」異物混入問題の全貌

今期の業績悪化には、国内「すき家」店舗の一部でネズミなどの異物混入が発生したことが大きな原因となっています。一連の問題を受け、本部は全店舗を一時停止(3月31日~4月3日)し、徹底清掃や再発防止のための対策を実施しました。この期間に発生した営業損失や対応コストが業績を直撃しました。

  • 異物混入発生後、3月末から全店営業停止
  • 新たに「23時間営業」へ変更し、清掃時間を確保
  • 老朽化店舗への計画的改装を継続
  • 衛生面強化のため対策費用を計上

これらの諸経費は膨大で、営業利益・純利益の減少につながりました。

各事業セグメントの動向:「すき家」の営業赤字が目立つ

「すき家」はグループの柱ですが、今回の異物混入対応費用が重くのしかかり、営業赤字に転落しました。店舗ごとの休業や運営見直し、一連の費用負担が収益を押し下げました。一方、他ブランド(なか卯、ココス、はま寿司など)は堅調に推移しているものの、「すき家」全店規模の影響がグループ全体をマイナスに導いています。

業績予想と回復への道筋

  • 通期売上は1兆2,235億円(7.6%増)を見込む
  • 営業利益:820億円(9.1%増)、経常利益:774億円(7.7%増)
  • 純利益:425億円(8.2%増)と期末には増益予想
  • 今後は異物混入対策や衛生強化により、回復を目指す

グループとしては今期後半での経営立て直し・業績回復を本格化させる予定であり、既存店舗の改装・清掃徹底だけでなく、食材・物流・人材育成など全方位から施策を推進しています。

株主・投資家向けの説明責任と現状認識

異物混入問題に関しては積極的な情報開示が行われ、IR情報や月次速報、決算短信などを通じて現状と対策を丁寧に説明しています。今期の業績予想を含め、今後の改善への取り組みも明示されています。

  • 決算短信の発行や説明会を実施
  • 株主向けには具体的な回復計画を提示
  • 持続的成長のための中長期戦略も継続中

顧客・社会に向けた姿勢:食の安全確保と信頼回復

すき家の異物混入事件は消費者の間にも広く波紋を呼びましたが、ゼンショーHDは「食の安全」と「清潔な店舗運営」を最優先事項として、再発防止策を強化しています。

  • 店舗スタッフへの衛生管理教育を徹底
  • 第三者機関による定期的な店舗検査を導入
  • お客様からの声を集めて現場改善に反映

企業としての信頼回復に向け、今後も透明性の高い情報公開と徹底した再発防止が求められます。

ゼンショーホールディングスの今後—成長と課題

ゼンショーホールディングスは、外食業界最大手として事業拡大を進めてきましたが、今回のような異物混入事件は組織運営・現場管理体制を見直す契機となりました。中長期的には、グループ力を活かしさらなる安全対策とサービス向上を図ることが重要です。

  • 設備投資・衛生管理予算の増加
  • 店舗改装サイクルの短縮
  • 従業員教育の強化
  • フードチェーン全体の品質管理レベル引き上げ

まとめ:安心できる「食」の提供を目指して

2025年4〜6月期のゼンショーホールディングスは、異物混入問題によって大きく減益・苦戦を強いられました。しかし、グループ一丸となって店舗衛生改善やサービスの向上に乗り出し、再び成長軌道に乗るべく努力を続けています。皆さんの食生活に欠かせない「すき家」などの外食ブランドが今後どのように信頼と安心を取り戻していくか、ゼンショーHDの挑戦は続きます。

参考元