綾羽高校、悲願の甲子園初出場――地元滋賀県を沸かせる歴史的快挙

春夏通じて初の甲子園切符――26年目の偉業

綾羽高校野球部が、この夏ついに春夏通じて初の甲子園出場という歴史的快挙を成し遂げました。1965年創立の同校野球部は1999年に誕生し、長きにわたる挑戦の末、創部26年目でついに夢舞台への出場権を掴みました。滋賀県草津市に校舎を構える私立校で、地元に密着した活動と着実なチーム強化が実を結ぶ形となりました。

滋賀大会決勝でリベンジ――4度目の決勝進出で初優勝

2025年7月26日にマイネットスタジアム皇子山で行われた第107回全国高校野球選手権滋賀大会の決勝では、絶対王者と目された滋賀学園との接戦を6-3で制しました。初回に2点を先制されるも、その裏に3点を奪い返しすかさず逆転。2回にも追加点を挙げ、その後も着実にリードを広げました。滋賀学園は3年連続優勝、春夏連続の甲子園を狙いましたが、綾羽の粘り強い野球と4投手のリレー、そして主砲・山本迅一郎捕手の活躍が勝負を分けました。

  • エース藤田陸空投手を軸とした堅い投手陣
  • 主砲・山本迅一郎選手は滋賀大会2本塁打を放つなど大活躍
  • 全選手が滋賀県内の中学出身、地元密着型チーム
  • 昨年夏決勝で敗れた滋賀学園へのリベンジ達成

現場を率いた千代純平監督と恩師の遺志

綾羽の快進撃の陰には千代純平監督の情熱がありました。2004年に一期生として同校へ入学し、その後監督としても21年にわたり「甲子園」を目指し続けてきた指導者です。2017年に監督就任後、名将・田中鉄也元監督(近江高校を1981年夏初甲子園に導いた)の遺志を継承。監督としてチームの地盤強化に力を注ぎ、ついに自身と同世代、そして後輩たちの夢を叶えました。田中元監督から託された阪神・和田豊氏のコーディネートによるノックバットは「甲子園出場まで封印」とされてきましたが、その長年の約束も実現の時を迎えました。

感動とドラマ――「甲子園の土」を夢見た野球少年の物語

かつて甲子園出場校の選手から「甲子園の土」を受け取ったという経験を持つ選手が、今回その夢を自らの手で叶えました。「自分も甲子園に出て、同じように後輩に土を持って帰りたい」。そんな思いが現実のものとなり、滋賀県内の野球少年、関係者に大きな勇気と感動を与えました。

地元出身メンバーで構成されたチームの快挙は、多くの少年少女に「地元で野球を続け、夢をかなえられる」希望をつなげています。滋賀県の野球史に新たな1ページが加わりました。

甲子園初戦はいきなり注目カードに

2025年8月8日には、夏の甲子園の初戦で高知中央高校との対戦となりました。高知中央といえば、名門PL学園のユニフォームデザインをモチーフに一部リニューアルが話題となっていました。さらに、高知中央は2年生右腕・堅田投手が高知大会決勝で9回2失点7奪三振と大活躍して勝ち上がってきた新興勢力です。

一方、綾羽の4番・山本選手は滋賀大会決勝で17打数9安打8打点の素晴らしい成績を挙げており、中軸としての存在感を発揮。甲子園という大舞台で、エース藤田とともにどんな戦いを見せてくれるのか、注目されています。

  • 高知中央vs綾羽 初戦はNHK、BS朝日4Kなどで放送
  • ネット配信はスポーツナビ、スポーツブルで実施
  • 新ユニフォーム、選手たちの表情、現地の応援など話題豊富

びわ湖大花火大会と重なる試合開始――地元に響くダブルの祝砲

8月8日といえば、滋賀県民にはおなじみの「びわ湖大花火大会」の開催日。この日、綾羽高校の甲子園初戦が花火大会と同時刻に行われることとなり、現地の応援席や地元のテレビ観戦者、野球部員たちも「自分たちの戦いに勝利の祝砲を重ねたい」と抱負を語りました。先発マウンドには背番号18の安井悠人投手が登板し、選手たちは「地元の歓声と祝砲を背に最高のパフォーマンスを」と気合十分で試合に臨んでいます。

甲子園の熱戦とともに、滋賀県全体が綾羽旋風に湧き上がる――そんな1日が演出されています。

綾羽高校野球部のこれから――夢はさらに続く

甲子園初出場を成し遂げたとはいえ、この偉業が「通過点」であるという声も多く聞かれます。千代監督や選手たちにとって「全国でどれだけ戦えるか」がこれからの目標です。滋賀県勢にとっては近江高校をはじめとした“強豪の壁”が全国では存在しますが、「地元出身中心」「恩師の教え」「仲間との絆」――この3つの財産をバネにさらなる勝利を目指します。

  • 地元で生まれ育った選手たちの団結力
  • 多くの野球少年に「夢を持ち続けること」の大切さを発信
  • 今大会での一勝、そしてその先へのチャレンジに注目

スポットライトが当たるのは、選手だけでなく支えてきた家族、指導者、地元住民、OB・OG、地域企業など多くの人々。綾羽高校野球部の躍進は、滋賀県の高校野球界に新たな可能性をもたらし続けることでしょう。

おわりに――甲子園の土は、夢の証

かつて「甲子園の土」を夢見た野球少年が、自ら球場の土を踏みしめて夢を叶えたその姿。大きな舞台で躍動する地元球児たちの姿は、次なる世代にしっかりと受け継がれていくはずです。「滋賀から、全国へ」――綾羽高校の挑戦はこれからも続きます。

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