XRP、SECとの訴訟終結間近――3ドル台突破と仮想通貨市場の熱気の真相
XRP(エックスアールピー)は、米証券取引委員会(SEC)との長年にわたる法廷闘争がいよいよ終結を迎えつつあるなか、その価格が2025年8月に米ドル3ドルを突破し、加熱した注目を集めています。本記事では、訴訟経緯の要点から市場が動揺する背景、投資家への影響までをわかりやすく解説します。
SEC対リップル訴訟の終盤、その舞台裏
- 2020年:SECによる提訴
2020年、SECはリップル社に対し「XRPの販売が未登録証券に該当する」として訴訟を起こしました。仮想通貨市場全体を大きく揺るがす出来事となり、以降、リップルとXRPは法的リスクの重荷を背負い続けてきました。
- 2023年:画期的な判決とSECの控訴
リップル社にとって転機となったのは2023年7月。米連邦地裁のトーレス判事は、個人投資家による取引所でのXRP売買は証券取引法に抵触しないとする判決を下しました。これによりXRPは暗号資産としての扱いが明確化された一方、機関投資家向けのXRP販売は証券性を帯びる可能性があるとされ、完全決着とはなりませんでした。SEC側は判決に不服として控訴しました。
- 2023年10月:SEC控訴の却下
SECの控訴は2023年10月に却下されました。裁判所は「控訴動議の法的要件が不十分」と指摘し、XRP価格はこれを好感して一時的に約5%上昇しました。しかし、SECはリップル社との完全な和解を目指して以降も再度請求を試みるなど、法廷闘争は続いていました。
- 2025年春~夏:和解への道筋と終結の兆し
2025年3月、リップル社はSECと罰金5,000万ドルで合意し、重大な争点が決着。SECが続けていた控訴も取り下げられ、XRPの法的リスクは大幅に後退しました。この合意額は当初SECが主張していた1億2,500万ドルから大幅に減額されています。
2025年8月15日を控訴対応の最終デッドラインとし、法律専門家は「訴訟の全面的な終了が濃厚」との見通しを示しました。
XRPの価格高騰、その理由と市場の動き
- 3ドル台突破と史上最高値の更新
SECとの法的リスク後退を背景に、XRPは2025年7月に3.40ドルを突破し史上最高値を更新しました。これは過去7年で最も大きい月間騰落率(約480%上昇)です。
- BTC(ビットコイン)高騰の影響
市場全体でもビットコインが11万5千ドルに到達し、主要アルトコインにも資本流入が顕著です。XRPの上昇は単なる訴訟終結の期待だけでなく、市場全体の強気トレンドにも後押しされています。
- 機関投資家とETF(上場投資信託)関連の動き
リップル社側にとって象徴的な出来事として、2025年7月にはProShares Ultra XRP ETFが立ち上がり、これがSECの承認した初のXRP投資商品となったことが挙げられます。さらに11の大手資産運用会社がXRP ETF申請を積極化、市場の透明性と流動性が飛躍的に向上しています。ブルームバーグのアナリストは2025年末までに95%の承認確率を見込んでいます。
- 中長期ホルダーの増加
価格上昇局面で3億1,000万XRP(約10億ドル相当)が大手機関投資家に蓄積され、短期的な価格変動にもかかわらず市場は安定的な成長に期待を寄せています。
政策・規制動向:SECの姿勢と今後の方向性
- 証券規制の明確化
今回の訴訟終結により、XRPは米国市場において原則として証券には該当しない――という重要な前例が確立されました。米国における仮想通貨規制の
転換点とされ、今後は他の主要アルトコインにも影響を及ぼすと考えられています。
- SECの方針転換
SECの現議長ポール・アトキンソン氏主導のもと、デジタル資産規制の近代化プロジェクト(プロジェクト・クリプト)が開始され、従来の厳格な姿勢から、より実用性・投資家保護とのバランス重視へと進化しています。
市場の懸念と今後の展望
- 大暴騰後の売り圧
価格高騰後には短期的な売り圧力が高まるリスクも指摘されています。特に訴訟和解直後は材料出尽くしで一時的に調整局面に入る可能性もあります。しかし、ETFの流入や大口保有者の動きが引き続き堅調であれば、価格が中長期的に底堅い展開になるとの見方が強いです。
- 投資家・ユーザーへの影響
訴訟リスクが後退したことで、米国内外の個人・法人投資家にとってXRPの取引環境が大きく改善しました。新たな資金流入の加速と、ブロックチェーン関連決済分野での商用採用が期待されます。
まとめ:リップルとXRPにとっての「新章」
2025年8月現在、XRPは訴訟終結間近という大きな節目を迎え、市場の雰囲気は過去になく明るいものとなっています。法的な不確実性からの解放、新規投資商品の誕生、史上最高値の更新と、まさに「新章」の幕開けとも呼べる状況です。
とはいえ、仮想通貨市場は短期間で大きく変動するため、今後の政策動向や世界的な金融環境にも注目が必要です。本記事が皆さまの理解や今後の投資判断の一助となれば幸いです。