ソフトバンクグループ、急騰する株価と試練 ― 市場を揺るがすAIと「孫ディスカウント」の影

はじめに:注目を集めるソフトバンクグループ

ソフトバンクグループ(SBG)は、2025年8月現在、日本を代表する投資持株会社として世界中の市場で大きな話題となっています。近年はAI分野への巨額投資や、株価の高騰、そして独特の経営戦略による株式市場での評価が注目されています。本記事では、「孫ディスカウント」と呼ばれる経営者プレミアムへの評価、市場価値を一気に押し上げた要因、そしてNVIDIA(エヌビディア)やTSMC株式の新規取得など、いま最も熱いソフトバンクグループの現状と背景を、やさしい解説でお届けします。

ソフトバンクGを取り巻く3つのキーワード

  • 孫ディスカウント ― 創業者 孫正義 会長兼社長の個性的なマネジメントと投資姿勢が、株式市場での評価に独特な影響を与えてきました。
  • 市場価値650億ドル増加 ― 米国発のAIブームの波に乗ることで、SBGの時価総額が大幅に上昇しました。
  • エヌビディア・TSMC株式を追加取得 ― 世界のAI・半導体業界の中核企業に積極投資し、さらなる収益の拡大を模索しています。

孫ディスカウントの呪縛と市場評価の乖離

「孫ディスカウント」とは、創業者孫正義氏の独創的かつ大胆な投資戦略が、市場ではポジティブに捉えられる反面、リスクを強く意識されることで、純資産の価値や投資資産の実態価値に比して株価が割安に放置されがちな現象を指します。SBG株は2025年8月現在、上場来高値圏にあるものの、その株価は「及第点」にとどまり、「理論上の本来価値」や「NAV(純資産価値)」と比べて依然として割安傾向にあります。

市場では、同社が保有する多額の投資資産(Arm、アリババ、国内通信子会社など)や収益構造の透明性に対して期待と懸念が入り交じっています。特に創業者個人へのリスク依存度の高さ、不透明なガバナンス、一部投資案件のボラティリティが、投資家心理に影響しています。このため、アナリストからは「成長性と安定性の両立への課題が残る」という指摘も見られます。

SBG株価、急騰の背景 ― AIブームの追い風

2025年春から夏にかけ、ソフトバンクグループの株価は急激に上昇しました。背景には、米国を中心に巻き起こったAI(人工知能)ブームや、関連銘柄への資金流入があります。SBG自身の投資先である英Arm(アーム)の好調、世界経済のAI化トレンド、そして市場に広がった「デジタル革命の象徴」としての期待が、時価総額650億ドル規模の押し上げ要因となりました。

また、2025年3月期決算速報では、SBGの売上高が7.2%増の7兆2,438億円、税引前利益が1兆7,047億円と、前年を大きく上回りました。直近の第1四半期(4~6月期)でも4218億円の最終黒字を記録し、赤字からの劇的な回復を見せています。

注目企業に積極投資 ― エヌビディアとTSMCの追加取得

ソフトバンクグループは2025年夏、世界のAI・半導体産業を牽引するエヌビディア(NVIDIA)TSMC(台湾積体電路製造)の株式を新たに市場から取得したと報じられています。AIサーバー・生成AI向けGPU分野で圧倒的シェアを誇るエヌビディア、高度な半導体製造技術で世界戦略の中核となるTSMC――この2社への追加出資は、SBGのAI分野での覇権獲得と、中長期の成長意欲を象徴するものです。

とりわけAI半導体分野での技術革新は今後も拡大を続けると見込まれ、これら企業への投資はSBGの資産価値増大の起爆剤として期待されています。投資家からも「AIバブル」の恩恵、将来的な収益源の多角化、グローバル市場での存在感向上など、多くの期待が寄せられています。

投資家や市場の反応 ― ポジティブな勢いと慎重論

最新のアナリスト予想によれば、SBG株は「買い」ないし「強気買い」評価が約8割と非常に前向きな状況です。掲示板などの投資家感情でも、「強く買いたい」「買いたい」との声が目立ちます。一方、依然として17%ほどは「強く売りたい」といった慎重論も存在し、SBG特有のリスク要因を懸念する声も根強いです。

2025年8月7日発表予定の最新決算では、AI分野への投資拡大が持続するか、新たな戦略転換があるか、引き続き大きな注目が集まっています。

まとめ:今後の注目ポイント

  • AIブームを支えにした高株価が今後どこまで維持されるか
  • 孫ディスカウントが解消され、実体価値に近い株価水準に向かうのか
  • エヌビディアやTSMCなどAI・半導体分野での投資成果
  • グループ全体のガバナンス強化と収益安定性の継続実現

ソフトバンクグループは世界のデジタル産業の大変革期、その中心に位置しています。AIや半導体に軸足を据え、次なる成長に向かうSBGの歩みから、今後も目が離せません。

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