米国、mRNAワクチン開発への投資を全面中止 「予防効果なし」と米厚生長官が主張

2025年8月5日、米国保健福祉省はメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンの開発計画に対する連邦政府の資金提供を停止すると発表しました。厚生長官を務めるケネディ氏は「mRNAワクチンは新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症に対して予防効果がないことが明らかになった」として、約5億ドル(約740億円)に上る22件の開発計画を打ち切る意向を示しました。

mRNAワクチンとは何か?その役割と実績

mRNAワクチンは、遺伝情報を運ぶ「メッセンジャーRNA」を用いて体内にウイルスのタンパク質を作らせ、免疫反応を引き起こす新しいワクチン技術です。特に新型コロナウイルス(COVID-19)に対し迅速に開発され、パンデミックの収束に大きく寄与しました。

この技術の基礎を築いたカタリン・カリコ氏とドリュー・ワイスマン氏は、2023年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。mRNAワクチンはこれまでにない柔軟性とスピードで新型ウイルスに対応できるため、世界中の多くの感染症研究者や医療機関から高い期待を集めてきました。

ケネディ厚生長官の判断とその背景

しかしながら今回、保健福祉省のケネディ長官はmRNAワクチンの「予防効果なし」という見解を示し、投資停止の決断を下しました。彼は声明の中で、新型コロナウイルスやインフルエンザをはじめとする感染症に対し、“効果が不十分である”ことが確認されたと主張しています。このため長官は、連邦政府がこれまで続けてきた22件の関連ワクチン開発プロジェクトへの資金支援を打ち切ると述べました。

今回の決定は、彼が推進してきた保健政策の大転換の一環と見られています。一方で、これまで有効性が認められてきたワクチン技術の投資停止は、米国内外の医療コミュニティにおいて議論を呼ぶ可能性があります。

mRNAワクチンの予防効果をめぐる議論

  • 従来の評価:多くの臨床試験や実地調査により、mRNAワクチンは感染予防や重症化抑制に効果的と評価されてきた。
  • ケネディ長官の見解:「予防効果はない」と断言し、政府主導の投資プロジェクトを凍結。
  • 専門家の反応:現時点でこの見解を支持する詳細な科学的根拠の公開はなく、慎重な検証が求められる。

このように、mRNAワクチンの有効性に対する見解は現在分かれている状況です。今後公的機関からの詳しい説明や科学的検証結果が注目されます。

今後のワクチン開発への影響

米厚生省の方針転換は、医療分野だけでなく製薬業界や研究機関にも大きなインパクトをもたらす可能性があります。mRNA技術はCOVID-19以外の疾患にも応用が期待されていたため、政府の投資中止は一時的に研究開発の停滞を引き起こす懸念があります。

しかしながら、多くの専門家はmRNA技術の革新性を評価し、基礎研究や別ルートでの開発は継続されるべきだと指摘しています。今後は、新しい免疫技術やワクチン候補の選定に際し、効果の科学的検証が一層重視されることになるでしょう。

まとめ

2025年8月5日、米国保健福祉省はmRNAワクチンへの連邦政府の資金援助を停止する方針を表明しました。ケネディ厚生長官は「予防効果が確認できない」と主張し、計22件、約5億ドルにのぼる開発計画の資金を削減する考えを明らかにしました。

これにより、COVID-19のパンデミック収束に寄与したmRNA技術の今後の展開に注目が集まっています。科学的根拠に基づくさらなる議論と検証が期待される一方で、ワクチン開発の将来に影響を与える重大な決断として受け止められています。

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