NTT、2025年4-6月期決算速報:最終利益5%減で着地

2025年8月5日に発表されたNTTの2026年3月期第1四半期(4-6月期)決算によると、同社の純利益は前年同期比5.3%減少し、約2108億円となりました。営業利益も7%減少し、主に総合ICT事業の減益が響いています。この結果、株価は後場にマイナス転換しています。

業績の詳細と背景

  • 売上高は約1兆1044億円で、前年度の1兆1121億円からわずかに減少しました。
  • 営業利益は577億8600万円となり、前年同期の586億2600万円を下回りました。
  • 純利益(四半期利益の帰属)は2108億500万円で、前年同期の2124億5000万円と比較し約5%減少しました。
  • 金融収益は減少傾向で、金融収益が110億8100万円から61億8300万円に大幅減少。これが全体の利益圧迫に繋がっています。
  • データセンター事業の受注高は前年同期の3980億円から大幅に減少し、402億円となったことも業績に影響しました。

減益の主因:総合ICT事業とデータセンター事業の動向

今回の減益は主に総合ICT事業の利益減少が大きく影響しています。特にデータセンター事業が前年同期と比べて3,577億円の受注減となったことが響き、これにより全体の受注高も減少しています。

一方で、データセンター事業以外のICTサービス分野では受注高がわずかに増加しており、42億円から43億円に伸びています。NTTは各地域のリージョンを横断するクロスファンクション戦略や、アセット活用によるソリューション強化、パートナーシップの深化により収益拡大を目指していますが、まだ減益傾向を脱し切れていない状況です。

株価への影響と市場の反応

これらの決算発表を受け、NTTの株価は本日後場に入ってマイナスに転じました。7%の営業利益減少発表は投資家の警戒感を呼び、総合ICT事業の減益が主因とされるため、今後の事業再構築や成長戦略の進展に注目が集まっています。

今後の展望と経営の取り組み

NTTは2025年度の売上高目標4兆7千億円の達成を目指し、地域別の既存ビジネス拡大、センサー性向上、データセンター需要の取り込みに注力しています。特に、データセンター事業の受注回復が課題であるため、これを戦略的に強化して収益改善を図る方針です。

また、全社としてリージョナルユニットとクロスファンクション部門が協力しながら、アセットやソリューションの創出・拡充によって成長ドライバーを確保していくことが重要とされています。

今回の減益は短期的な要因も影響していますが、NTTはICTインフラやデジタルサービス分野で需要が拡大する市場環境を踏まえ、中長期的には成長軌道に復帰することが期待されています。

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