大和ハウス工業、2025年4~6月期決算:経常利益6%減も配当増額を発表

2025年8月6日、大和ハウス工業株式会社(証券コード:1925)は2025年3月期第1四半期(4~6月期)の決算を発表しました。この期間の連結経常利益は前年同期比6.2%減の1119億円となり、6%の減益着地となりましたが、通期計画の4300億円に対して進捗率は26.0%と好調を維持しました。また、年間配当金を従来予想の165円から170円に5円増額修正しており、株主還元を強化する姿勢を示しています。

決算の詳細と業績推移

  • 経常利益:1119億円(前年同期比6.2%減)
  • 売上営業利益率:9.1%(前年同期の9.5%から低下)
  • 通期経常利益計画:4300億円に対して26.0%の進捗
  • 年間配当:従来165円→170円(前期150円)へ増額

第1四半期は利益面でやや減益となったものの、通期計画の進捗率は過去5年平均の18.3%を大きく上回っており、今後の巻き返しが期待されています。売上営業利益率が前年同期の9.5%から9.1%に悪化した点はコスト面の課題を示唆していますが、安定した収益基盤は維持しています。

背景と今後の見通し

大和ハウス工業は戸建住宅事業や事業施設事業など主力事業が堅調で、2025年3月期の前年度通期は売上高5兆4348億円(前年比4.5%増)、営業利益5462億円(同24.1%増)と過去最高益を更新しました。今期もこれら事業を軸に増収増益を目指しており、一定の成長持続が見込まれています。

また、同社は従業員数約7万4千人、グループ企業667社の大規模グループ企業として、建設業のデジタルトランスフォーメーション(DX)にも注力しています。竹中工務店など業界他社が「D3B」と呼ばれるデータ戦略でDXを加速させる中、大和ハウスでもこれらの動向を踏まえた業務効率化や品質向上策に注目が集まっています。

配当増額の理由と株主還元

今回の配当増額は、経営の安定性と利益の回復見込みに自信を持ったものと考えられます。株主に対する還元姿勢を強めることで、株価の下支えや投資家の信頼醸成を図る狙いがあります。なお、直近の株価は5000円台前半で推移しており、今回の発表を受けて株価の反応が注目されています。

まとめ

2025年4~6月期決算では経常利益が前年同期比6%減と一時的な減益となったものの、通期計画に対して順調な進捗と配当の増額修正が発表され、大和ハウス工業が安定成長と株主還元の両立を目指していることがわかりました。建設業界全体で進むDX推進の動向も踏まえ、今後の事業展開と業績回復に注目が集まります。

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