IHI、株式分割を発表—業績減益も配当実質維持へ
2025年8月6日、IHI株式会社(証券コード:7013)は2026年3月期第1四半期決算を発表し、連結最終利益が前年同期比で約38%減少し116億円となったことを明らかにしました。この利益減少は市場予想を下回る結果となりましたが、同社は株式分割の実施を同時に発表し、株式の流動性向上を図るとともに投資家の参加促進を目指しています。
株式分割の概要と配当方針
IHIは2025年9月30日を効力発生日として、1株を7株に分割する株式分割を実施します。これに伴い、年間配当予想を従来の140円(分割前換算)から80円に修正しましたが、実質的な配当水準に変更はありません。配当は安定的に実施する方針であり、財務基盤の回復や今後の成長投資を最優先としつつ、持続的な増配を目指すとしています。
第1四半期決算の詳細
- 連結最終利益:116億円(前年同期比約38%減)
- 売上営業利益率:6.2%(前年同期6.8%から悪化)
- 通期最終利益計画:1200億円に対し進捗率9.7%(5年平均19.0%を下回る)
この背景には、グローバル経済環境の影響や原材料費の上昇などがあると推測され、利益率の低下が懸念されています。しかしながら、株価は堅調に推移しており、1年間で大きく伸びていることがIR資料で指摘されています。
株式分割の狙いと市場の反応
IHIの株式分割は、東京証券取引所が推奨する投資単位の引き下げを受けての措置であり、より多くの投資家が参加しやすい市場環境の整備を意図しています。流動性の向上により株価の安定化や中長期的な株主層の拡大が期待されます。市場では「株価は元気」という声もある一方、同業他社の決算動向に連動する形で推移を注視する見方もあります。
為替市場とNZドル円の動向
一方で、為替市場ではNZドル円が87円21銭前後で推移し、NZドル高・円安の流れが続いています。特に、テクニカル指標ではボリンジャーバンドの下限付近を巡る攻防が見られ、短期的な値動きに注意が必要とされています。
NZドル円の相場変動は国内外の投資家動向に影響を与え、輸出関連銘柄や為替ヘッジ戦略にも注目が集まる局面です。IHIのような大手製造業においても、為替変動リスクの管理が重要な経営課題となっています。
まとめ
IHIは厳しい業績環境のなか、株式分割で市場参加者の裾野を広げる施策を打ち出しました。配当は実質維持され、財務基盤の強化と成長投資のバランスを重視する姿勢を示しています。一方、為替市場ではNZドル高・円安が継続し、投資家は複数の動向を総合的に見極める必要があります。