ABCマート、海外5カ国目としてフィリピン市場に本格進出
2025年7月28日、人気シューズ小売チェーンの「ABCマート」は、東南アジア市場の新たな展開としてフィリピンに進出することを正式に発表しました。これによりフィリピンは、ABCマートの海外事業として、アジア4カ国に続く5カ国目の拠点となります。
店舗展開の詳細と狙い
- 第1号店は2025年9月下旬、マニラ首都圏のタギッグ市ボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)内で、旗艦店「ABC-MART GRANDSTAGE」としてオープン。
- 第2号店は同年11月、同じくBGCの「MITSUKOSHI」ショッピングモール内に「ABC-MART」として開業予定。1号店から1km程の距離に位置し、異なる店づくりでファミリー層のニーズに応える構成。
- 今後はマニラを拠点に、セブやダバオなど他都市への出店も視野に入れ、2026年度には合計5店舗の出店を計画しています。
この進出は、東南アジアという成長著しい市場を重点的に開拓するための一環であり、訪日フィリピン人客の増加とともに同社のブランド認知度向上を狙っています。特に、日本での豊富な商品展開やプロモーションが成功例となっており、それらの実績をフィリピン市場にも活かす狙いです。
ABCマートの海外事業展開の背景
ABCマートはこれまで日本をはじめ、韓国、台湾、ベトナム、中国などアジアを中心に海外展開を進めてきました。今回のフィリピン進出は、同社にとって5カ国目の拠点確立となり、東南アジア2カ国目の展開です。
同社は、SNSを活用し新作スニーカーの複数国同時リリースなどを実施し、インバウンド需要の取り込みに成功しています。国内外の店舗展開も積極的で、2025年4月末時点にはグループ店舗数が1,509店舗に達し、前年度の連結売上も過去最高の3,722億円に上るなど、財務面も好調です。
フィリピン市場の特徴と期待
フィリピンは人口約1億人を擁し、GDP成長率も高い東南アジアの有望市場です。マニラ首都圏は特に消費市場として活況を呈しており、同国の中でもBGCは富裕層や若者が多く集まる商業・ビジネスの重要エリアとして知られています。
このような環境の中で、ABCマートは現地消費者のニーズを反映した店舗運営を展開し、日本ブランドの高品質な靴を武器に競争力を高めていく意向です。
店舗の特徴と店舗戦略
- ABC-MART GRANDSTAGE(BHS店): 約766平方メートルの大型旗艦店で、トレンド志向の顧客をターゲットに洗練された品揃えを展開予定。
- ABC-MART(MITSUKOSHI店): 面積約352平方メートル。ファミリー層を中心に幅広い層に対応した商品構成とサービスを提供し、1号店との差別化を図る。
こうした店舗業態の違いは、多角的な消費者層へのアプローチを可能にし、フィリピンの多様なマーケットニーズに応える狙いがあります。
今後の展望と課題
ABCマートのフィリピン進出は、ブランドの東南アジア戦略に新たな息吹をもたらすものです。現地の経済成長や消費者層の拡大を背景に、成功すれば同社の海外売上高及び利益拡大に大きく貢献すると期待されています。
一方、競合他社も多い中で、現地の消費者理解や物流・販売網の構築、文化面の適応など挑戦も多い領域となるため、今後の展開を慎重かつ戦略的に進める必要があります。
ABCマートのフィリピン事業がどのように成長していくのか、新たな国際市場での挑戦に注目が集まっています。