中村鶴松、歌舞伎映画「国宝」と自らの経験に共感
歌舞伎俳優の中村鶴松さん(30歳)が、話題の映画「国宝」(李相日監督)に出演する主人公・立花喜久雄との共通点を語りました。喜久雄は映画の中で部屋子(へやこ)という立場で歌舞伎に挑む若手俳優ですが、鶴松さんも子役時代に勘三郎さんに誘われ中村屋の部屋子となり、同様の経験をしています。
映画の中で喜久雄が「手が震えて化粧ができない場面」に強く共感し、「分かるわ〜」と話しています。鶴松さん自身も「10回くらい離席しそうになった」と映画の苦悩や葛藤に心を動かされたことを明かしました。自身が一般家庭出身である点も主人公と重なる部分で、「歌舞伎界を担う一員として責任を感じている」と語っています。
自主公演「鶴明会」開催へ―中村勘九郎らを迎え更なる飛躍を目指す
中村鶴松さんは2025年9月18日・19日に東京・浅草公会堂で2回目となる自主公演「鶴明会」を開催します。この公演は鶴松さんの「鶴」と、かつて誘ってくれた勘三郎さんの本名「哲明(のりあき)」から「鶴明会」と名付けられ、共に考えた中村勘九郎さんらも参加予定です。
今回の上演演目は、舞台の名作「仮名手本忠臣蔵」の五段目・六段目と、舞踊の「雨乞狐(あまごいぎつね)」。鶴松さんは「いつかはこの自主公演で務めた役を歌舞伎座の大舞台で演じたい」と明確な目標を語りました。また、尾上右近さんが自主公演「研の會」で披露した「鏡獅子」を歌舞伎座で上演した例を挙げ、「けんけん(右近)はすごい」と称え、自身も同じ道を志しています。
早野勘平と雨乞狐に挑む―リアルな役作りへの強い意欲
「鶴明会」で鶴松さんが挑む役どころには「早野勘平」と「雨乞狐」があります。特に早野勘平は熱に満ちた役であり、鶴松さんは「リアルさを追求したい。熱のある勘平をお届けできたら」と語るなど、徹底した役作りに余念がありません。
この挑戦には自主公演ならではの自由と責任があり、鶴松さんは自身が歩んできた部屋子としての道のり、歌舞伎の将来を見据え、新たな創造を掴もうとしています。
映画「国宝」の大ヒットを受けて歌舞伎の未来に光
映画「国宝」は興行収入が68.5億円を超える大ヒットを記録し、その影響で歌舞伎に一般の関心が再び高まっています。鶴松さんはこの機運を「今がチャンス」と捉え、「一人でも多くの味方をつくり、未来のお客様を増やしていかなくてはならない」と強い決意を示しました。
鶴松さんの話す「国宝」との共通点、そして自主公演への意気込みは、若手歌舞伎俳優が伝統芸能を守りつつ新しい観客層を開拓しようとする姿勢の象徴となっています。
まとめ
- 中村鶴松は映画「国宝」の主人公と部屋子という共通点を持ち、役の心境に強い共感を示している。
- 自主公演「鶴明会」を9月に開催し、中村勘九郎らと共に「仮名手本忠臣蔵」「雨乞狐」を上演予定。
- 熱のある役に挑戦し、リアルな演技を追求する意欲を語る。
- 映画のヒットによる歌舞伎再注目の波に乗り、歌舞伎の未来を切り開く決意を持つ。
今後も中村鶴松さんの活動から目が離せません。彼の努力と挑戦は、歌舞伎をより身近に、多くの人に届ける大切な架け橋となっています。