米EU間の貿易協定がついに合意、フォンデアライエン委員長とトランプ大統領が発表

2025年7月27日、欧州連合(EU)のウルスラ・フォンデアライエン委員長とアメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領は、長く続いていた両者の貿易摩擦に終止符を打つ合意に達したと発表しました。米国がEU製品に課していた関税について、自動車を含む幅広い品目で15%まで引き下げる内容です。これにより、米欧間で数カ月間続いた不確実な状況が大きく改善される見込みです。

合意のポイント:関税引き下げと投資促進

  • 米国の対EU関税が15%に削減され、自動車関連品目も対象に含まれました。
  • EU側からの約6000億ドルに上る対米投資の拡大が見込まれています。
  • エネルギー購入の拡大も協定に含まれ、米国への安定的なエネルギー供給が目指されます。

この合意は、スコットランドのトランプ大統領が所有するゴルフコース「ターンベリー」で行われた会談で発表され、両者から今回の交渉が「公正さ」と「相互利益」に基づくものであるとのコメントがありました。

背景と今後の影響

これまで、米国は「1962年通商拡大法」232条に基づき、自動車と部品に対して最大25%の追加関税を課してきました。今回の合意では撤廃はされなかったものの、税率を15%に引き下げることで両者の貿易環境が改善されることになります。

こうした動きは、2025年8月1日に関税の相互発動が予定されていたなかで成立したため、EU加盟企業にとっては大きな安堵材料となっています。

一方、EU側はこの合意を通じて米国市場へのアクセス拡大を図り、約6000億ドルの対米投資を行うことを約束しています。特にエネルギー分野では、安定的な供給と共同開発を進めることで、双方のエネルギー安全保障にも寄与する狙いです。

フォンデアライエン委員長とトランプ大統領の声明

フォンデアライエン委員長は、「今回の合意は、公正かつ互恵的な関係を築く大きな一歩です。我々は、すべてのEU加盟国にとって持続可能な成長と雇用の拡大を期待しています」と述べました。

トランプ大統領も、「米国はEUとの貿易で公平な条件を望んでいた。今回の協議で両者が満足できる結果を得られた」と発言し、今後も対話と協力を重視していく姿勢を示しました。

市場と業界の反応

経済専門家や産業界からは、今回の関税率引き下げを概ね好意的に評価する声が上がっています。特に自動車業界は、25%から15%への関税引き下げにより、コスト負担が軽減され、輸出競争力の回復につながると期待しています。

また、投資の増加は技術革新や雇用創出を促進すると見られ、長期的な経済成長に寄与するとの意見もあります。

まとめ

7月27日に発表された米EU間の新たな貿易協定は、関税引き下げを中心に双方の経済関係を強化する重要な進展を示しました。フォンデアライエン委員長とトランプ大統領の直接交渉の結果生まれた今回の合意は、エネルギー購入拡大や大規模な投資約束も含み、今後の米欧経済の安定と成長に大きく寄与するものと期待されます。

参考元