9月から全国の医療機関で「マイナ保険証」のスマホ利用が本格化へ
2025年9月より、スマートフォンに搭載したマイナンバーカードの電子証明書を使って健康保険証として利用できる「マイナ保険証」のサービスが全国の医療機関で本格的に始まります。これに先立ち、6月24日にはiPhoneでもマイナンバーカードの電子証明書搭載が可能となり、Android端末に続きiPhoneユーザーもこの機能を使えるようになりました。7月からは関東圏の一部医療機関で実証実験が進行中で、9月から順次全国展開が予定されています。
マイナ保険証スマホ利用の仕組みと開始経緯
これまでは、マイナンバーカードを健康保険証として利用する場合、カードそのものを窓口に持参する必要がありました。しかし2025年6月に発表された新しい仕組みでは、スマートフォンにマイナンバーカードの電子証明書を搭載することで、スマホだけで保険証の役割を果たすことが可能となります。電子証明書とはマイナンバーカードの本人確認機能のデジタル版で、これをスマホ内に安全に格納して使う形です。今回対応はAndroidに加え、iPhoneでも実装されました。
マイナ保険証スマホ利用の実験は2025年7月から関東圏15の医療機関で始まり、すでに約66万5000人の登録者がいると報告されています。実証実験では、従来の顔認証付きカードリーダーが物理的なマイナンバーカードにしか対応していないため、スマホに対応した専用の非接触カードリーダーが試験的に設置されています。これが運用可能になれば、全国の医療機関での導入も加速すると期待されています。
iPhoneにマイナ保険証搭載後のメリットと普及の現状
- スマホ一つで保険証を提示できるため、カードの持ち忘れや紛失のリスクが減る
- ワクチン接種証明や各種行政手続きと連携する可能性が広がる
- 医療機関での本人確認がスムーズ化され、手続きの簡素化につながる
また、iPhone対応により、これまでAndroidユーザーに限定されていた利便性が急速に拡大しました。ユーザー登録も増え、公的手続きのデジタル化推進に一層弾みがついています。
利用拡大の課題と現場の混乱懸念
一方で、サービス開始に伴い現場での混乱を懸念する声もあります。主な課題は以下の通りです:
- 医療機関側の設備対応:顔認証付きカードリーダーは物理カード用のものが主流で、スマホ対応の機器を新たに設置する必要があるため、導入には時間と費用がかかる
- 利用環境のバラつき:全国すべての医療機関が即座にスマホ対応を完了できるわけではなく、利用できる場所が限定されることによる混乱
- 操作への不慣れによるトラブル:医療機関・薬局のスタッフや利用者の双方に周知や操作指導が追いつかない恐れがある
- 故人のiPhoneのマイナンバーカード管理:故人のスマホ内にある電子証明書の解約・管理方法が課題となっているため、専門的な対応が必要(「天国へのプロトコル」の話題として注目)
これらの課題を解決しながら、円滑にサービスを運用していくことが今後の大きなポイントとなっています。
今後の展望と注意点
マイナ保険証のスマホ搭載による利用拡大は、医療サービスの利便性向上や行政手続きのデジタル化促進に役立つ一方で、利用者と医療現場双方の適切な環境整備が不可欠です。2025年9月の本格開始までに、対応する医療機関の拡大や操作の周知・サポート体制の強化が期待されます。
スマホへのマイナンバーカード搭載はセキュリティ面でも高度な対策が施されていますが、利用者はマイナンバーカードと同様、大切に管理する必要があります。特にiPhoneを初めてマイナ保険証として使う方は、事前に対応状況や操作方法を確認することをおすすめします。