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毎日の生活をハッピーに!陶芸とイラストをミックスした作風が魅力の陶芸家・岡村友太郎さん

2015.08.16 |
毎日の生活をハッピーに!陶芸とイラストをミックスした作風が魅力の陶芸家・岡村友太郎さん

岡村友太郎さんは、30歳で陶芸家になろうと決意し、平塚と大磯で子ども向けの造形教室や、大人向けの陶芸教室の先生をしながら、作品を作り続ける陶芸家です。作業中はいつも海パン・半袖姿で、粘土をこねたり、ろくろを回したりする姿は工作に夢中になるわんぱく少年のようです。

陶芸家と言うと近寄りがたく気難しい印象ですが、常に明るくハッピーオーラ全開です。そんな岡村さんにお話をうかがいしました。

お父さんは陶芸家、お母さんは造形教室の先生

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大磯校の造形教室の様子。この日、子どもたちは楽しすぎて大暴れ中ですが、人形を作っています。

陶芸家になろうと思った理由は簡単で、父親が陶芸家だったんです。父は中国で古くからつくられてきた“青磁”という、綺麗に色を作り出すことが難しい青磁の釉薬を使った作品を作り続けている人で、自宅の食器はすべて父が作ったものでした。小学校の頃はその価値も知らず、その器で自分が作ったインスタントラーメンを食べたりしていました(笑)。母も絵と工作と粘土の子ども造形教室を開きながら作品をつくったりしていたので、陶芸はとても身近な存在でした。

と言っても、子どもの頃はろくろを使って器をつくったりすることはなく、粘土でロボットを作ったり、変な人形を作るぐらい。高校生になってからは、雑誌を中心としたデザインの世界に興味を持ち、東京の美大に進学しました。在学中は絵の勉強をはじめ、写真を撮って本をつくったり、卒業制作ではデジタル映像を制作したり、パソコンを使った平面の世界の作品をつくってばかりいました。けれど、自分には平面の世界があまり向いていないような気がして、卒業後は母の造形教室で働き始めました。

ハッピーな生活を送るからこそ、ハッピーな作品を作ることができる

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岡村さんと妻の奈津子さんと一緒に、大磯の素敵な自宅の前で。

ちゃんと陶芸家になろうと決意したのは、5年前の30歳の時です。父に30歳になるまでに自分の道を決めればいいと言われていたことがどこか頭にあったので、子ども造形教室で陶芸を教えながら、ゆるゆると人生を過ごしていました。けれど、いざ30歳になって、これまでの仕事を振り返った時、陶芸以外考えられなかった。この頃、妻のなっちゃんに出会ったことも、陶芸家を目指すと決めたいいきっかけになったと思います(笑)。

それまで教室で陶芸を教えていたので、基本的な作り方はわかっていたんですが、作品として販売するレベルではなかった。それで、父親の工房を借りて、とにかく作品をいっぱいつくりました。どこかの陶芸家の窯で師匠についた訳ではなく、わからないことがあると、父親に「どうやってやるの?」と聞いて、やってみるの繰り返しです。父は自分からは何も言わない人だったので、基本的に自己流です。だから、僕の作品はキレイで整っているような作風ではなく、器やグラスに自分が好きな絵を描いてみたり、車のオブジェを作ってみたりと、ゆるゆるです。でも、僕が目指しているのは、毎日がハッピーになる作品を作ること。自分が浮かれてハッピーなぐらいの気持ちで作っていないと、ハッピーな作品は提供できないと思うんです。僕は技術を磨くより、ハッピーを磨く方がいい器ができると思っています。

会話が弾むきっかけになる器を作りたい

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ろくろに向かうと急に真剣な顔つきに。海パンとのギャップがたまりません。

それから、高価な器というか付加価値がついているものは好きじゃなくて、毎日使えるものを作りたいと思っています。例えば、器1つで10万円と言われて、買う人は買うかもしれないんですけれど、毎日使えなくないですか? 僕は庶民的な感覚なので、10万円だと言われてバンバン使える人はあまりいないと思っていて、そうなると、飾ったりしちゃうと思うんです。でも、僕は飾る器が好きではなくて、そういうものは作りたくない。それよりも、「なにコレ!」「変な器~」とおもしろがってもらえるような作品の方がいい。器は使っているうちに必ずかけたり、割れたりしてしまいます。その時に、僕の器を持っていることがきっかけで会話が盛り上がって、ハッピーな食卓になったからまた買いに行こう。そんな風に思ってもらえるような金額設定で、作品づくりをしていきたいと思っています。

大磯市が「岡村工房」本店です

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7月の大磯市の様子。「冷やし中華皿」3,000円、「ミニカー」1,200円、「ビールカップ」1,500円など。イラストとのコラボ作品以外のおしゃれな器もたくさん。

大磯市は、岡村工房本店をうたっているんです。2011年の5月に初出店して以降、ずっと出ています。大磯市はおもしろいんですよね。出続けていると常連のお客さんも増えるし、月1回だから、毎回来て新しい作品を見てもらえる。それに、同じ器なのに重ならなかったり、形が違いすぎるものでも、お客さんがおもしろがってくれるんですよ。

大磯市がきっかけで、初出店後まもなく大磯へ引っ越しました。出店者の「tane・tane」さんの工房兼自宅に遊びに行ったら、その古民家がかわいすぎて、どうしても大磯に引っ越したくなったんです。それで、いろんな人に良い物件があったら紹介してほしいと声をかけていたら、同じく出店者の「やきいも日和」のチョウハシ君が「友達が住んでた古民家が空いたよ」と電話をかけてきてくれたんです。それで、興奮してすぐ見に行ったら、すごく良くて即決しました。

同じ年の秋には、ご近所に住んでいた器好きの建築家の方と仲良くなって、器をテーマにした「大磯うつわの日」というイベントも始めました。最初は僕も含めて、陶芸家や木工作家など5組しか参加していなかったんですが、毎年1度開くうちに、瀬戸市や益子町など県外の陶芸家など、約30組が参加する町ぐるみの大きなイベントになって、人脈もどんどん広がりを見せているので、驚いています。

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友太郎さんらしさあふれる、色を塗る前の車のオブジェ。ハッピーボーイの“僕ちゃん”とハッピーガールの“私ちゃん”が乗っている。

僕の将来の目標は、今の生活を維持していくことです。毎日が楽しくて、健康で、自分が作った作品を販売して、そういう今の生活に満たされているんです。今後、病気になったり、ひょっとしたら災害にあったり、人生いろいろあるかもしれませんが、そういうことにもめげずに順応して、生きていけたらいいなあ。

えっ、初老の目標みたいですか。そしたら、大磯で海が見える、どこかの丘の古民家を生かして、岡村友太郎の美術館を作ることが目標です。僕の陶芸作品を展示するような場所ができたらいいなと思っています。これでどうですか?でもそしたら、飾れるような高価な作品作らなきゃいけないか。そうなると、今まで言ったことが全部違っちゃうから、おかしいことになるな(笑)。

【岡村工房】

1976年に友太郎さんの父・昭男さんが「岡村工房」を築窯。作品作りをする一方、「子ども造形教室」(絵・工作・陶芸)や「大人向け陶芸教室」も開催している。

<住所>神奈川県平塚市出縄625-2

<電話>0463-31-4555

<HPhttp://okamura-koubou.com/

【プロフィール】

岡村友太郎(おかむら・ともたろう)

1980年平塚生まれ、大磯在住。多摩美術大学卒業。父の岡村昭男さん、母の岡村敬子さん、姉の岡村朝子さん、家族全員が陶芸家の陶芸一家。

大学卒業後、母親の造形教室で働きながらアルバイトをして自由に過ごす。30歳で奈津子さんと結婚を考えたことをきっかけに陶芸家として生きるべく修業に励み、2013年の32歳で結婚。20115月から大磯市を中心に、大磯駅近くの「つきやまArts & Craft」、大磯駅から15分ほどにある「今古今」などで常時販売している。※「大磯うつわの日」2015年は10/23(金)~25(日)に開催。 http://oiso-utsuwa.jimdo.com/

上浦 未来

大磯在住ライター。愛知県生まれ。編集プロダクションを経て独立。18 歳で初ひとり旅に出て以来、旅にハマり、東南アジア、インド、中東、南米など、10年ほどかけて約 30 カ国を巡る。イスラム圏好きで、お気に入りの国はイラン。現在はイースト東京や地方都市など、国内で盛り上がるスポットの発掘に興味津々。体験ルポなどが得意。