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愉快で奇妙で素晴らしい、スタジオクーカの世界へようこそ! studio COOCA

2015.05.26 | 出展店舗
愉快で奇妙で素晴らしい、スタジオクーカの世界へようこそ! studio COOCA

ちょっと困った顔をしたキャラクター“不愉快くん”が印象的なこちらのポップコーン、大磯市で目にしたことがある方も多いのでは?

この「不愉快ポップコーン」をはじめ、レターセット、ペンケース、ブックカバー、バッグなど、個性豊かなアートグッズを販売しているのが、studio COOCA(スタジオクーカ)。様々なハンディキャップを持った人々が、自分の得意なことで活躍し、仕事を得ることを目的に活動する福祉施設です。

一歩足を踏み入れると、そこは誰もが魅了される、愉快で奇妙で素晴らしい世界。スタッフ中尾さんの案内で、studio COOCAワールドを体感してみましょう。

 

最初は、誰も認めてくれなかった。

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平塚と大磯の間、国道一号線沿いにあるスタジオクーカ。入り口や階段、エレベーターなど至るところに絵が描かれていて、にぎやかなキャラクターたちが出迎えてくれます。

 

studio COOCA(以下、クーカ)は、2009年、平塚市にある社会福祉法人「湘南福祉センター」のアート部門が独立する形で立ち上がりました。当初からアートの施設をつくるという目的があったわけではなかったのですが、絵を描いたり、ものをつくったり、一方で下請けの仕事をしたりする中で、彼らの絵を「いいね」と言ってくれる人もいて、それをもっと様々な形で展開していこうと考えたことがきっかけでした。

でも最初は、誰も認めてくれなかった。今でこそ、みんなが「いいね」「アートだね」と言ってくれますが、昔は彼らの描いた絵がアートだとは認識されていませんでした。「こんなの何がいいんだ」と言われるようなことの連続だったと、施設長から聞いています。

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1階にある展示・販売スペースには、ポストカード、レターセット、ブックカバー、ピンバッジ、バッグ、エプロンなど、色とりどりのオリジナルグッズが並んでいます。

 

クーカ設立の目的は、ハンディキャップを持った人々が、自分の好きなこと、得意なこと、活躍できることを仕事にしていくこと。「仕事をしてもらう」というより、「やりたいことを仕事につなげていく」というイメージで、絵画、創作、オリジナルグッズ製造の他、展示販売、人形劇やライブペインティングといったパフォーマンス活動も展開しています。

年齢層は18歳から60代まで幅広く、現在は80〜90名の人が在籍。平塚や茅ヶ崎を中心に、遠くは横浜や相模原、大和、厚木など幅広いエリアから通ってきている人もいます。ここに来る目的も様々で、みんながアートをやっているわけではなく、絵を描いたり、ものをつくったり、なんとなくぶらぶらしたり(笑)。それぞれにやりたいことをして、時間を過ごしています。

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開放的で明るい雰囲気の作業スペース。1階はみんなでわいわい作業したい人のスペース、2階は厨房と職員室。3階は少人数で静かに作業したい人のために仕切りを設置するなど、その人にとって居心地のいい環境で作業できるように配慮されています。

 

スタッフは、基本的には指導のようなことはしません。絵を描く人、裁縫をする人、フィギュアやオブジェをつくる人、料理をする人など、好きなものが決まっている人には自由にやってもらっています。もちろんこちらとしては仕事としてやっているので、何を描いたらいいかわからない、道具をどう使っていいかわからない、という人には「これやってみたらどうですか?」と提案することはありますが、「こうしなきゃだめ」と無理強いすることはありません。やりたいことのある人にやってもらう、というスタンスで接しています。

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驚くほど細かい柄を描き、色鉛筆で思うがままに塗りつぶしていく森山幸美さんの作品。オリジナルグッズのデザインとしても数多く採用されています。

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漫画用ペンで細かいキャラクターを描く絵本作家の横溝さやかさんは、自ら読み上げる紙芝居も各地で開催中。この日は「ワンニャン大行進」の下絵を短時間で完成させていました。

 

大磯市でヒット商品になったポップコーン。

大磯市には、実行委員の原さんから声をかけていただき、第3回目から出店しています。メンバーと一緒に参加して、グッズとポップコーン販売の他、紙芝居や人形劇をパフォーマンスとして実演したこともあります。大磯市は気さくなお客さんが多いので、「これあなたが描いたのね!」とか「会えて良かった」と声をかけてくれる方がいて、作家も自分の作品を持って会場内を歩き回ったり、積極的にアピールして楽しんでいます。やはり自分の知らないところで売れるよりも直接売りたい気持ちもありますし、毎月出店なので、「次の大磯市に向けて絵を描こう」というモチベーションにもつながっています。大磯市で初めてクーカを知る人も多く、その後ここに見学に来てくれる人もいて、うれしいですね。

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「ご紹介致します!」と、得意の口上でオリジナル作品「辻太郎招福くまで」をアピールしてくれた伊藤太郎さん。大磯市でも法被姿で売り歩く彼に出会えます。多くの人からご利益の報告も寄せられ、「ご利益がある!」と話題の商品です。

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メンバー自ら脚本、人形制作、声の出演、人形遣い、監督まで手がける人形劇団「ふもっふっ」が繰り広げる人形劇は、大磯市でも大盛況。現在、DVDも製作中なのだとか。

 

「不愉快ポップコーン」が人気商品となったのも、大磯市がきっかけでした。もともと料理好きのメンバーがいて、当初は商品化までは考えずに「何かイベントがあったら出せたらいいね」くらいのつもりでつくっていたのですが、ちょうど同じ頃に大磯市出店のお話があって。毎月出していたら口コミでどんどん広がって徐々に売上が伸びていき、今では多いときは150〜200個ほど売れる人気商品になりました。お客さんも、「これ美味しいね」とか、「今度友達にあげようと思ってる」とか声をかけてくれたり、「何で“不愉快”なの?」と聞いてくれたりして、それがつくり手のモチベーションにもなっています。グッズは近隣のショップに置いていただくことも多いのですが、ポップコーンは食品なので難しいところもあります。大磯市に出し続けていなかったら、まだ全然認知されていなかったかもしれません。

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厚がけキャラメルのコーティングによるサクサク食感とビターな風味が好評のポップコーンを生み出しているのは、「株式会社不愉快」。ポップコーン職人の永谷浩一さんは、残念ながら写真NGとのことですが、大磯市では会えるかも!?「不愉快」というネーミングの由来や、サクサクの秘密も、ぜひブースで聞いてみてください。

 

大磯市は、毎月出店している方も多いので、自然と顔を合わせることも多くなり、様々なつながりが生まれています。他の出店者の方と合同の展示をやったこともありますし、クーカの作家を気に入ってくれて、そこから仕事につながった人もいます。一緒に行く作家によって出会いも変わるのが面白い。これまではポップコーンをメインで販売していましたが、まだまだ大磯市に行ったことがない作家もいるので、これからはいろんな作家と一緒に行けたらいいな、と思っています。

 

彼らのことを、もっと社会全体に知ってもらいたい。

今は年に3〜4本の大きな展示会を全国で開催していて、小さなものは毎月のように行っていますが、もっともっと広げていきたい。回数を増やしていきたいですし、自分たちで企画した大きな展示や、個人にスポットを当てた個展など、どんどん新しい街やお店にも出ていきたいです。

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独特の色彩と細やかさが特徴の内山萌さんの作品は、生地メーカーの柄として採用されたことも。カメラを向けると、この笑顔。気さくで人との距離が近いところも、クーカの作家さんたちの魅力の一つです。

 

障害者って、街で見かけても簡単に声をかけられる存在じゃないし、実際に付き合いがないと、やっぱり怖いと思うんです。電車で独り言を言っている人がいるけど、なんでぶつぶつ言っているか理解できないし、その人が何を思っているのかわからない。なんとなくいるな、と思っても見て見ぬふりをする、そういう存在だと思うんです。

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太鼓をたたきながらライブペインティングを行う大野晋平さん。テンションが上がってきたら描くという大野さん、描くか描かないかは気分次第なのだとか。

 

だから、展示会などで彼らの作品や彼ら自身に触れて、「こんな才能のある人たちだったんだ」、「こんな面白いことをやっている人たちがいるんだ」ということをもっと社会全体に知ってもらいたい。大きな場所で人が集まって絵や商品が売れたら、彼らにその分のお給料が入ってきますし、僕自身が彼らの存在も彼らの絵も好きなので、単純にもっと多くの人に見てもらいたい、という気持ちも大きいです。いろんな意味で、どんどん広げていけたらな、と思っています。

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クーカの名物キャラクター・二見幸徳さんは、株式会社不愉快の社長。代表作の「納豆」を全身にまとった“納豆づくし”の格好で大磯市の会場を練り歩いていたところ、茨城県のPRプロジェクトから声をかけられ、今後コラボーションの可能性も?

 

ここに見学に来ると、「価値観が覆される」とか、「見方が変わりました」と言ってくれる人がいて、うれしいですね。彼らの世界に触れることは純粋に楽しいですし、もっともっと多くの人に触れてほしい。

大磯市にもスタジオにも、ぜひ気軽に遊びに来てください!

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スタジオの前で作家のみなさんが大集合!「僕よりも作家を撮ってください」と控えめな中尾さんは、右から3番目後方。お話を聞かせていただき、ありがとうございました。

 

【studio COOCA(スタジオクーカ)】

様々なハンディキャップを持った人が、その人の好きな事・得意な事で活躍する、仕事を得ることを目的に活動する福祉施設。絵画・創作・オリジナルグッズ製造・展示販売やパフォーマンス活動を行っている。

ホームページ www.studiocooca.com

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池田 美砂子

茅ヶ崎在住フリーライター、ひとりの娘のお母さん。人の言葉をありのままに聞くことで本質を見つめるインタビューを、ライフワークとしています。使命は、「ほしい未来を自分の手でつくる人を増やす」こと。この世にもっと、ワクワクを。